③入院そして出産~成長の止まった我が子を出産するまで~
前回のあらすじはこちら↓
9カ月で成長が止まってしまった息子くん。
各臓器が十分に成熟する正期産まではお腹の中にいた方が良いと、頻繁に病院へ通いNSTやエコーなどでしっかりと様子を見ていました。
心拍はしっかりしているものの、やはり大きくならない。。。
そこで、36週を過ぎたあたりで入院し、糖などの栄養の入った点滴をして少しでも赤ちゃんが大きくなることを期待しました。
『お願い!大きくなって!』と、しっかり病院食も完食し、あとは祈ることしかできませんでした。
病院生活は一日一日がとても長くて、考えることはお腹の中にいる息子のことばかり。
気晴らしにテレビを見ても、子供が映っているだけで、涙があふれる日々。。。
障害があったらどうしよう。。どうしよう。。。どうしよう。。。。
未熟児は陣痛に耐える力が弱いため、出産も経膣分娩ができるか帝王切開になるのかもまだ決まっておらず、全てが不安だらけでした。
毎日、毎日、病室で泣く日々。。。そんな時、『私も未熟児で産まれたんですよ。』と、立派に働く看護師さんがやさしく声をかけて下さったり、他の看護師さんは『もし障害があっても、それだけ子供を想う気持ちがあれば大切に育てていけると思います。』と別室で私が落ち着くまで話をして下さいました。
たくさんの優しさに包まれ、必死に冷静を取り戻し、前向きに頑張ろうと思う私でしたが、実際は不安をぬぐいきれませんでした。
そんな日々を過ごしながら正期産を迎え、いよいよ出産。
赤ちゃんは大きくなることはありませんでしたが、これ以上環境の良くないお腹の中にいるより、早く外に出して直接栄養を与えた方が、この子の成長につながるとのことでした。
そして、バルーンで子宮口を開き、陣痛促進剤を少しづつ投与していきました。
赤ちゃんの様子などから、経膣分娩にチャレンジし、夕方までに産まれない場合は医師の数の関係で帝王切開に切り替えるとの説明でした。私はハイリスク出産でしたので、産婦人科と麻酔科等の医師がしっかりと揃っている必要があったのです。
なかなか強まることのない陣痛。。。何時間、微弱陣痛が続いたことでしょうか。。
陣痛のたびに弱まる息子の心拍。。。もう、心配で心配で、どの態勢が赤ちゃんが楽かな?どうすれば酸素が行きわたるかな?と自分なりに考えていたものです。そんな私に気づいた医師は、『僕たちがしっかり管理しているから大丈夫ですよ!』と心強い言葉をかけて下さったのでした。
徐々に子宮口も開いていくものの、なかなか本陣痛まで至らず、タイムリミットの夕方が近づいてきました。
帝王切開か。。。
帝王切開を否定している訳ではなく、次はお腹を切ることへの恐怖でいっぱいになりました。
そして・・・・
医師たちが帝王切開の準備をしているその時!!
どんどん強くなっていく陣痛・・・そう、本陣痛がきたのです!
そこからは、想像以上の痛みに苦しみながらではありましたが、何十時間もかかる難産に比べれば、あれよあれよという間に息子は出てきてくれました。
このギリギリのタイミングで出てきてくれた息子に、なんだか不思議な感覚を覚えたものです。
出生体重は1,954グラム。身長43センチの小さな赤ちゃんでした。
産まれるまでは約1,800グラムを予想していたので、少し大きかったかな。
それでも、未熟児。。。
私は出産後、一目見ただけで、息子はNICU(新生児集中治療室)へと運ばれていきました。
一生懸命、産まれてきてくれてありがとう。
しばらく、一人になっちゃうけど頑張ってね。お母さんも回復したら会いにいくから。。。
この時、すさまじい疲労感は残っていましたが、今まで感じていた大きな不安はすーっと消えていました。