療育センターおよび通級指導教室は子供の学び場ではなく親の学び場である~働きかけを増やすために親ができること~
タイトルがかなり断定的ですので、誤解を招かないために先に少し説明をさせてください。
もちろん、大前提の話として、療育センターや通級指導教室は子供たちが苦手分野を学び吸収していく場であると思っています。
ただし、子供だけではなく親もさまざまなアプローチを学ぶことができたら、療育の効果が上がる可能性が高まるのではないでしょうか?
ここからの内容はあくまでも息子との療育経験を通じてのお話となります。
障害の程度によって、また特性によっては、全てが当てはまるものではありません。
昨日、放課後に息子と通級へ行ってきました。
いつもさまざまな方法で療育を行ってくれる先生。
そんな中、本日の療育によって、息子の弱点が二つ具体的に発覚しました。
一つ目は、週末の出来事を説明させたところ、時系列がバラバラであるということ。
まず、本人は話したい内容から話してしまうので、メインの話をした後に、「初めはね~」と付け加えてしまう。
聞き手からすれば、「え?初めっていつ??」となってしまい、混乱してしまうのです。
例えば、先週末のクワガタの話。
「お風呂入っている時にお父さんがクワガタ捕ってきてくれたよ!初めは、山に行ったけど見つからなかった。」
だいたい、言いたいことは分かるのですが、「土曜日、山の公園へお母さんとクワガタを探しに行ったけど見つけられなかった。その後、今度はお父さんと行ったけど、また見つけられなかった。そうしたら、僕がお風呂に入っている時に、お父さんがクワガタを捕ってきてくれた。」というように、『いつどこで誰と何をした』という内容を時系列で説明できた方が相手に伝わりやすいですよね?
先週土曜日の出来事はこちら↓
何となく出来事を説明できるようになってきた息子の次の課題は❝5W1Hを時系列で話す❞ということ 。
二つ目は、絵カードを見せて、それに関する言葉をすぐに数種類あげるというもの。
例えば、少年の隣に大きな石が描いている絵。
それに対して、『大きい』『固い』『重い』など数種類の言葉がすぐに出ればOK!
これは何とかいくつかのワードをあげられたようです。
次に、風船を持っている少年の絵。
『やわらかい』『ふわふわ』『軽い』などの言葉をイメージできればいいのですが、これが出てこない息子。
でも、その単語自体は知っているはずなのです。言葉は知っているけど、すぐにその言葉が出てこない。
そう、もう一つの息子の課題は言葉の瞬発力を強化するということ。
今回の通級によってこの二つの課題を得た私は、早速家で実践です。
一つ目の❝5W1Hを時系列で話す❞に対しては、今までもしてきたことですが、まずは私が普段の生活から5W1Hを意識して話をするということ。
子供の学習はまずは大人の模倣から始まります。
そして、本人の会話の中で分かりづらい部分を訂正するのではなく、「こうで、こうで、こういうことだね~」とサラッと付け加え、どんどん耳に定着させる。
さらに、紙面上の学習(我が家の場合は公文や学校の作文、日々の日記など)で文章構成を学び、頭で意識をして理解をする。
二つ目の❝言葉の瞬発力を強化する❞については、マジカルバナナゲームがいいかなあと思っています。
バナナといったら黄色!、黄色といったらレモン!、レモンといったらすっぱい!・・・というように、どんどん言葉の連想をさせていく。
こうして、通級で得た課題を時間がある時に家庭で行うことにより、週一度の療育の働きかけの回数を増やすことができるのです。
働きかけを増やすことができれば、その効果が高まる可能性があると思い、息子が2歳で通い始めた療育センターから、私は常に活動内容をよく観察し、そこで得たものを家庭でも実践してきました。
そこで感じたこと。
活動中にお子様をよく見ていらっしゃらないお母さまたちが多くいたこと。
おしゃべりに夢中になり、子供たちの出来なかったことや出来たことを見逃してしまっている現実がありました。
最後に良かったところの感想を言う場面があるのですが、よく観察されていらっしゃらないお母さまは「楽しそうで良かったです!」などと、表現が抽象的になってしまっていました。
同じ悩みを持つ仲間同士、仲良くその時間を過ごすことを否定している訳ではありません。普段から頑張って疲れている中、療育センターにいる時くらいは先生にお任せしてリラックスをする。それもとても大事なことです。
ただ、私が言いたいのは、この前はここができなかったけど、今回はこれができるようになったな・・・とか、これはずっと苦手なんだな・・・とか、これは安定してできるようになったな・・・とか、こんな療育方法があったのか!とかいうことを、親が積極的に意識をして観察をし学ぶことによって、それを具体的に家庭におろしていくことができるのです。
せめて活動中は子供に集中することができれば、週に一度や数回の療育を親が学ぶことによって毎日でも行うことができる。
私はハンディキャップを負った子供たちが、週一度や数回の療育で大きな成長を見せるとは思えないのです。
さらに、そういった子供たちが自分で日々意識をして療育で経験したことを実践していくのは無理があると思います。もし、自分たちで学び実践していく力があるのであれば、そもそも療育の対象ではないのでは?とも思います。
さまざまな障害やハンディキャップを抱えた子供たちの成長はゆっくりです。
私自身、この療育は意味があるのかな?こんなに頑張って通う必要はあるのかな?とさえ思ってしまう程、こういった子供たちの成長はすぐに目に見えるものではありません。
だからこそ、働きかけを少しでも多く増やすことによって、数日、数週間、数カ月の成長を見るのではなく、数年単位で子供の成長を見守る必要があるのです。
まさに『塵も積もれば山となる』
息子の療育を通して、とても深く考えるようになった言葉です。
療育活動中、同室にいることができるのであれば、しっかり我が子を観察する。同室にいないのであれば、先生と活動内容を共有し、子供の変化を教えてもらう。
特に、小学校の通級では別室というケースが多くなってくるのではないでしょうか?我が家の場合もそうです。
本人の集中力が高まり、親を意識せずにありのままの姿を出すことができるなどの利点が別室にはあります。
だからこそ、先生との連携を強め、双方の情報で子供を分析していくことが大切だと思っています。
では、働きかけを増やせばその分しっかり成長してくれるのか?
答えはイエスでもありノーでもあります。
何度も何度も繰り返し教えることによってできるようになることもあるし、何度教えても未だにできないこともたくさんあります。
でも、できるようになる確率が増えると思って、毎日学びを意識した働きかけを行っています。
この先のことなんて誰にも分かりません。
だからこそ、あの時こうしていたら・・・という後悔をしないために、出来る範囲で全力で息子と向き合っているのです。