子供の幸せを願って

~未熟児で産まれ、知的障害・言語発達遅延を患った息子の成長において私ができること~

⑬何も食べなくなった2歳の息子~「食べられる幸せ」を噛みしめよう~

前回のあらすじはこちら↓

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言葉が出ないまま迎えた2歳6カ月。

 

食事に関しては多少の好き嫌いはあったものの、バランスよく様々な食材を口にしていました。

 

離乳食もとっくに終えて、薄味の大人と同じものを一緒に食べていました。

 

とにかく椅子に座ってくれなかった息子との食事は、毎回追いかけまわしながらの戦い。

 

一口食べては椅子を降りて遊び始める・・・

 

何度も何度も椅子に戻してもすぐに脱走・・・

 

優しくしても、説明しても、怒っても、手を上げてしまっても・・・

 

何にも効果はありませんでした。

 

言葉を話すことのできない息子、椅子に座ることのできない息子にイライラがどんどんたまっていって・・・

 

「ちゃんとしなさい!」「座りなさい!」といつも声を荒げるようになっていました。

 

それでも、息子が言うことを聞くのは一瞬だけ。

 

「まだ2歳なのだから仕方ないのでは?」では済ますことのできないレベルで落ち着きがありませんでした。

 

今思えば、まだ理解が追いついていなかったのかな?とも思いますが、当時の私は全く余裕なんてなく、少しでも周りの子供たちと同じように育てたいという気持ちが大きかったのです。↓

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こうして、言葉の焦りと息子の過剰な落ち着きのなさが、私を苦しめました。

 

 

 

そんなある日・・・

 

いつものように戦いながら食事をしていたところ・・・

 

「ぎゃあ~!!!!」

 

と、突然泣く息子。

 

何やら一生懸命に喉を指さして訴えています。

 

何か詰まったのか?!

 

取り急ぎ、呼吸ができているかの確認。

 

その後、水を飲ませて・・・

 

様子を見ているうちに息子も落ち着きを取り戻し、泣き止んでまた遊び始めました。

 

「良かった・・・」

 

そして、次の食事を口に入れようとしたところ、口を開けない・・・

 

「え?」

 

「ほら、ご飯だよ」

 

何度かチャレンジしてようやくご飯を口にいれた息子はすぐにベーっと吐き出しました。

 

食材を変えても、すぐに口から吐き出す息子。

 

飲み込むのは水分のみ。

 

どうやら先程の喉の違和感が恐怖になっているようでした。

 

「大丈夫だよ」

「ほら、よく噛んで食べてごらん」

 

と言っても、その言葉をどこまで理解しているのかさえ分からない息子・・・

 

どうしよう、何も食べない・・・

 

でも、今日だけだろう・・・

 

きっと、明日はまたパクパク食べるはず・・・

 

 

 

でも、そんな期待はすぐに打ちのめされ、翌日も翌々日も食事を口に入れると泣きながら吐き出してしまう息子・・・

 

なんとか、プリンやヨーグルトや豆腐など滑らかなものであれば飲み込んでくれるようになりましたが、それも毎回ではなく遊びに夢中で笑った瞬間に口に入れたもののみ。

 

本人が口にあるものに気づけば、またすぐに吐き出してしまう・・・

 

「どうしよう・・・」

「このままじゃ、栄養が摂れない・・・」

 

「もしかしたら、まだ喉に違和感があるのかもしれない」と数日後に総合病院を受診。

 

でも耳鼻咽喉科で喉の奥まで調べても特に異常は見られませんでした。

 

「数日前にこういうことがあってから、本当に飲み込んでくれないんです・・・」

「一口食べさせるだけで、すごい大変なんです・・・」

「このままじゃ、死んじゃう・・・」

 

と泣きながら先生に訴える私。

 

すると先生は「食べられるようになるまで、入院して点滴をしましょう」とおっしゃってくださいました。

 

 

 

こうして病院でお世話になることになった息子。

 

まだ2歳半の息子の入院は親も付き添いです。

 

でも、当時2歳離れた娘は乳児・・・

 

小児病棟には娘を連れていくことはできません。

 

そのため、私の母も一緒に付き添いを手伝ってくれました。

 

昼間、娘は病院の待合室で過ごし、授乳の時は母が息子のもとへ、授乳以外は私が息子のところへ行きました。

 

でも、夜は・・・

 

私と娘が家へ帰り、母が狭い病院のベットで息子と添い寝・・・

 

お母さん大変だったね・・・ありがとう。

 

そして翌朝、再び私と娘が病院へ行くという流れでした。

 

 

 

病院食はおかゆと柔らかくしたおかず・・・

 

でも、ちょっとでも食感のあるものは息子は受け付けません。

 

その既に柔らかい食事を更にスプーンですり潰す私・・・

 

もうどろどろの離乳食初期の状態・・・

 

そこまでしても、飲み込んでくれない・・・

 

水分をスプーンで少しずつ与えるのが精一杯でした。

 

 

 

もうここまで来ると、「しゃべれるようになってほしい」という希望から、「しゃべれなくてもいいから、食べれるようになってほしい」という希望に変わるんです。

 

もうちゃんと食べれて健康で元気だったら、それだけでいい・・・って。

 

あとは何もいらないから、ちゃんと栄養を摂れるようになってくれたらいい・・・って。

 

命さえあればいい・・・って、そうなってくるんですよね。

 

 

 

当時は「しゃべれるようになってほしい」という希望がすごく贅沢なものに感じるようになっていました。

 

ここで、「食べられること」って生きていくうえで絶対に必要なことで、「食べられること」ってすごい幸せなことって気づいたんです。

 

普段、何気なくしている食事がこんなにも大切なことで、こんなにも必要なことで、こんなにも感謝しなければいけないことだったのか・・・って。

 

何日も何日も食事を摂らない息子から、そんな大切なことを教わりました。

 

 

 

こうして、入院して3~4日が経ち・・・

 

入院前も2~3日ろくに食事をしていなかったので、もう1週間が経っていました。

 

点滴で元気を保っているという状態・・・

 

この点滴が命綱・・・という感じでした。

 

そのおかげで元気にしている息子は、点滴の管をどこかに引っ掛けてしまい、管が手から抜けてしまう始末・・・

 

血液が溢れ出し、ベットは血だらけになって、私はもうパニック状態で・・・

 

でも、ナースコールを連打して慌てている私に、看護師さんはいたって冷静(笑)

 

「大丈夫ですよ(^^)」とささっと処置をしてくださって。

 

いつも私たちの不安を取り除いてくださるお医者さんや看護師さんの方たちには敬意の気持ちでいっぱいです。

 

 

 

言葉のしゃべれない息子との病院のベットのみの長い時間・・・

 

いくら絵本があっても足りず、タブレットで動画を見せたり、狭いベットで抱っこをしてお昼寝をさせたりしていました。

 

ただでさえ、落ち着きがなく同じ場所にじっとしているのが苦手だった息子との入院生活はまるで地獄のよう・・・ 

 

母も私も本当に疲れ切っていました。